安全で信頼できるAIによって支えられた人間中心の職場形成に向けて─OECD報告書を踏まえた展望─

先日、開催された労働政策フォーラム「安全で信頼できるAIによって支えられた人間中心の職場形成に向けて─OECD報告書を踏まえた展望─」に参加しました。
【主催者リンク】独立行政法人労働政策研究・研修機構 第143回労働政策フォーラム(2026年1月20日)安全で信頼できるAIによって支えられた人間中心の職場形成に向けて─OECD報告書を踏まえた展望─
日本のAIの使われ方
日本では、職場でAIを使っている人の割合が、比較した8か国(アメリカ、アイルランド、フランス、カナダ、イギリス、ドイツ、オーストリア、日本)の中でいちばん低いそうです。
それでも、「これから10年でAIがもっと広がる」と考えている人は多く、すでにAIを使っている人の約9割、まだ使っていない人でも約半分がそう答えています。
AIを使っている人は、若い世代や大企業に勤めている人、高い学歴を持つ人、そして管理職や専門職の人に多い傾向があります。
AIが仕事に与える影響
(1)仕事のしやすさ・やりがい
AIを使っている人の多くは、「仕事の効率が上がった」「働きやすくなった」「健康面にも良い影響があった」と感じています。
ただし、その変化の大きさは海外と比べると少し控えめです。また、作業のスピードや自分で判断できる自由度も向上しており、約半分の人が「AIが意思決定を手伝ってくれている」と答えています。
(2)給料への影響
将来の収入に不安を感じる人もいますが、実際にAIを導入した後は「給料が増えた」と感じる人のほうが、「減った」と感じる人より多いという報告がありました。特に中小企業では、給料が上がったと実感している人が多いようです。
雇用や仕事量への影響
「AIが原因で解雇された人がいる」と聞いた割合はとても低いです。将来の働き口が減るかもしれないと心配する人はいますが、AIを使っている人の中には「新しい仕事が生まれる」と期待する人もいます。
スキル(知識・技術)への影響
多くの人が「AIは人のスキルを奪うものではなく、むしろ助けてくれる存在」と感じています。ただ、日本の働く人たちは、AIを扱う専門的なスキルを持っている人がまだ少なく、勉強しようという意欲も海外と比べると控えめです。
AIの良い効果を高めるには
AIをうまく活かすポイントは、「人への投資」と「職場の仕組みづくり」という報告がありました。特に効果があるとされたのは次の5つです。
- AIに関する研修やOJT(職場での実地トレーニング)
- 働く人自身の自己学習
- 新しい技術を入れるときに行う丁寧なコミュニケーション
- 生成AIの使い方のルールづくり
- 安全で信頼できるAIを活用しようとする企業の姿勢
中でも、会社の研修と自分の勉強の両方に取り組んでいる人は、仕事の成果が上がったと感じている割合が約37ポイントも高いそうです。
みんなにやさしい効果も
AIは、障がいのある方や、育児・介護をしながら働く方にとっても働きやすさをサポートしています。
実際に、仕事の質やお給料の面でプラスの変化が見られ、生活との両立を助けるツールとしての可能性も広がっています。
まとめ
日本のAI活用はまだ遅れ気味ですが、導入が進んでいる職場では、仕事の質やお給料が良くなっているケースも多く見られます。
この流れをもっと良い方向に伸ばすためには、企業と働く人が一緒にスキルアップを続けていくこと職場全体で対話やルールづくりを進めること安心してAIを使える環境を整えることが大切です。
AIは「単に効率を上げるための道具」ではありません。人の成長を助け、働く喜びを広げていくためのパートナーとして、一緒に育てていくことが求められています。

