Enhancing Dignity and Opportunity for All: Psychology of Working Informed Career Interventions すべての人に尊厳と機会を~ワーキング心理学に基づくキャリア支援

一般社団法人日本キャリア・カウンセリング学会 第30回記念大会

先日、日本キャリア・カウンセリング学会が主催するシンポジウム「第30回記念大会」(会場:帝京平成大学 池袋キャンパス)に参加しました。

一般社団法人日本キャリア・カウンセリング学会
大会特設サイト https://jacc-conf.info/30th/

ブルスティン先生(Dr. David L. Blustein/ボストンカレッジ大学院カウンセリング心理学部教授)のご講演があるということで、気合を入れて参加しました。

先生は「働くこと」を「誰でも生きていくために欠かせないもの」として研究されています。それは一部の富裕層や特権階級といった限られた人のものではなく、社会的弱者の立場も含めたすべての人々を対象としている点に、深い意味があると感じました。

最も印象深かったのは「dignity」という言葉です。先生は例え話で、上司からクビを宣告されたら荷物をまとめて職場を出ていく、といった話をされていましたが、これは人の尊厳に関わる重大な出来事ではないかとおっしゃってました。

日本はそこまでひどくないなと安心しましたが、日本には日本特有の問題があります。

たとえば非正規雇用や長時間労働、そして家事・育児・介護といった「見えにくい仕事」をどう扱うかという問題であったり、あるいは人手不足やジェンダー格差の問題であったり。これらの問題に多くの人々が苦しめられています。

先生は、日本の良い点として、礼節を重んじることやパーソナルスペースを守ることなどを例に挙げ、これらが日本の労働環境を改善するのに役立つのではないかとご指摘がありました。

世の中の多くの人々がやりたくもない仕事をし、不安や屈辱感を抱えながら生活しているという現実。不公正なルールや社会の仕組みに対してどう向き合い、どう取り組み、そしてどう解決していくか。これは個人の努力だけではどうにも解決することのできない構造的・差別的な問題が横たわっています。

今回は先生の強い社会正義のまなざしをリアルに感じ取ることができ、たいへん有意義な学びの時間でした。

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