連合「2025年度 消費者政策シンポジウム」公益通報者保護制度の概要と今後の課題

公益通報者保護法の改正案、衆議院で可決

昨日(4月24日)「公益通報者保護法の一部を改正する法律案」が衆議院本会議で全会一致で可決され、参議院に送られました。

改正案は、公益通報者の実効的な保護を強化し、企業等の不正防止やコンプライアンス体制の底上げを目的としています。

これに先立ち、公益通報者保護制度の概要と改正法案について学び、今後の課題や労働組合に求められる取り組みを考えるシンポジウム(主催:日本労働組合総連合会)が開催されました。

主な改正点は以下の通りです。

1. 不利益取扱いへの刑事罰導入

公益通報者を理由にした解雇や懲戒処分に対し、事業者や意思決定に関与した個人に刑事罰を科す規定が新設されます。これにより、通報者への報復行為がより強く抑制されます。

2. 立証責任の転換

通報後1年以内の解雇や懲戒については、公益通報を理由としたものと推定され、企業側に「通報と無関係である」ことの立証責任が課されます。通報者が不利益を受けた際の救済が容易になります。

3. 公益通報者の範囲拡大

新たに、フリーランスや業務委託契約を結ぶ個人(特定受託業務従事者)、契約終了後1年以内のフリーランスも保護対象となります。これにより、従来の正社員や派遣社員だけでなく、多様な働き方の人々も保護されます。

4. 通報者探索行為の禁止

企業が正当な理由なく通報者を特定しようとする行為を禁止。違反した場合は行政による是正命令や刑事罰の対象となります。

5. 通報妨害行為の禁止・契約無効

公益通報を妨害するために「通報しないこと」を約束させる契約や誓約書は無効とされ、通報妨害そのものも禁止されます。

6. 企業への立入検査権限

消費者庁等が企業に対し、体制整備義務違反等の場合に立入検査を行う権限が新設されます。これにより、制度の実効性が確保されます。

7. 体制整備・周知義務の明確化

企業は内部通報制度の整備だけでなく、従業員や派遣労働者への制度周知も法律上の義務となります。

これらの改正により、公益通報者の保護範囲と事業者の責任が大きく拡大・強化され、通報しやすい環境づくりと不正の早期発見・是正が一層促進されることが期待されています。

参照:公益通報者保護制度相談ダイヤル(一元的相談窓口) | 消費者庁
URL:https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/contact

PAGE TOP