日本経済新聞WEB(12月22日付け)によれば、「ロート製薬やソフトバンクなど新卒採用でエントリーシートによる書類選考を廃止する」というニュースがありました。
出典:日本経済新聞 就活ES「AI頼み」が当たり前? 測れぬ熱意、ロートなど書類選考廃止
今年はAI関連のニュースをほんとうに多く見かけました。
感じることは、AIの普及と進化が進めば進むほど、アナログ的な価値を改めて見直そうとする動きが生まれてくるという点です。
もはや説明不要ですがAIが書いた文章は整っていますし、構成も体裁もよい。書類の型も学習するので、きれいごとでも、実際には思っていないことでも、それらしく書き上げてしまいます。学生側としてはAIに下書きを書かせてから、ファクトチェックして、言い回しを軽く修正してしまえば、書類なんてあっという間に一丁上がりとなります。
こうしたAI書類を書く(作る)学生は、ある意味、「プロンプトスキルの高い学生」とも言えますので、これはこれでよいのですが、その一方で、学生の個性は消えてしまうのではないでしょうか。採用側としてはその個性が知りたいのであって、AIに頼りすぎの汎用的な書類では学生の本当の姿が見えてこないのです(超高精度に自分化されたパーソナルAIであれば状況は変わるかもしれませんが、それはもう少し先の話ということで)。
当然、採用側にも学生に求める希望やニーズがあります。
とりわけ学生が、「どんな人か」「なぜ我が社なのか」「熱意や情熱はどこにあるのか」「我が社で何をしたいのか」といった志望動機の核となる部分は、どこの会社でも重要視していることでしょう。これを見極めるのに書類だけでは足りません。最終的にはリアルに会うことが肝心なのです。
今回はエントリーの段階から書類選考を廃止して対面にするという方針転換の変化に、今の時代を感じました。
この流れはビジネスマンとしても大事にしたい感覚だと思いませんか。みんながAI、AIと言い出したら、次に価値を持つものはその反対側にあったということはよくある話です。たとえるなら(やや飛躍があるかもしれませんが)株式投資の格言「人の行く裏に道あり花の山」ではないでしょうか。
このニュースを見て、映画「マイ・インターン」を思い出しました。高齢者のインターン募集で「履歴書はもう古い、自己紹介ビデオをYouTubeにアップロードしてください」というチラシです。
爆成長するIT企業にとって、紙でのやり取りなんてムダに思えてしょうがない。この発想はとてもユニークで効率重視です。エントリーの段階で対面選考などしていたら、人事担当者の負担は確実に増えますからね。
今回のニュースでは、あえてそうした時間と労力、人事担当者への負担をかけてでも「リアル対面する」こと、それが非効率であってもそれ以上に「企業と学生のお互いにとって価値がある」ことなのだと、ロートやソフトバンクは決断したのでしょう。
「マイ・インターン」の公開から10年が経過した今の時代ならではの経営判断だと思います。







